おっぱい110番のママの声  M・Mさん

26年前を振り返って

1984年8月生まれの長女は現在健やかに成長して、我が家5人家族の一員としてみんなの心を和ませてくれます。
浜の町病院での産室のことが今でも鮮明に甦ることがあります。娘をベッドで寝かせて、両手を持ち上げている夫の姿です。娘は力なく両手をすぐ体の方へ落してしまいます。不安を感じながら、必死で母乳をやろうとしている私を外科医の夫はだまって優しく見ていてくれました。筋力がすべて弱い娘は、乳首に吸い付くのも大変でした。


そこで、足を運んだが、平田先生のマッサージでした。
育児に疲れている私を励ましてくれた平田先生でした。
私は母乳育児をなんでやれないんだろう、この子はひどい障害を抱えているんだ、などといろいろな思いが私の頭の中をぐるぐると錯綜していました。
北里大学病院に出した検査結果が21トリソミーのダウン症であると間もなくわかったのでした。
母乳をやる事だけの日々が続きました。子どもの体重が増えないことが私たち夫婦だけでなく、平田先生をも不安にしていました。寒い冬の毎日のように福浜団地の先生のお部屋を訪ねていました。吸い方が悪く空気も吸い、お腹が膨らむし、腹筋が弱いので便通も悪く、毎日綿棒で排便を誘い努力の日々が続きました。


そのうち、全てが良い方向へ向かいました。北九州の療育センターのダウン症外来へ通い、福岡の療育センターの通園コースにも参加しながら、子どもはぐんぐんと成長していきました。
母乳はとても便利な道具です。いつでもどこでも子どもの脳を刺激し、栄養をあたえることができるようになりました。
母乳をあげない最近の若いお母さんはとても気の毒なことです。


私は、教職をやめて、専業主婦でしたので、子育てには十分な時間がありました。でも当時、26年前でも仕事をしながら母乳を冷凍して子育てしているお母さんもいました。
現在のように女性の仕事に対する理解がある世の中では一層子育てとの両立が楽になっている事だろうと察します。


その後、男の子、女の子と3人の子どもの親となれたのは本当に幸せなことでした。
私が出産をしたどの病院も母乳をやることの大切さを指導する人があまり表に出てこられませんでした。産科はどこも昼夜なく忙しいところですから、入院、出産、無事に退院とベルトコンベヤー式に流れることがよしとされます。


長女を出産した当時は、障害の子どもに対する情報は、本当にわずかなものでした。
早期療育ということが口にされ始めた頃ですから、それは親たちが勉強するしかありません。


1歳10か月の米国西部行きまでは日本語の指導を公文式の絵カードで行いました。1歳5か月では独り歩きが出来ていましたから、補正靴で歩きも上手になりました。
在米1年目は特別教育、2年目は教会のナーサリースクール、3年目はモンテッソーリ系の幼稚園といつも違った環境の中で子どもを育てながら、米国の幼児教育の仕組みがよくわかりました。
滞在4年目から東部のペンシルベニア州に住むことになりました。
4年目は英語の教育のため公立のESL(English as a Second Language)のクラス、5年目には公立の幼稚園、6年目は、日本で言う小学校1年生となりました。
いろんなやりかたでこの子を育ててきたことが結果としてよい発達を促してきたと思います。一言では言えないいろんな苦労が親や子もあったのですが…。


日本に戻ってからも健常児とともに育つことを願い、普通学級での教育を通しました。
米国と同様、先生方に対していろいろなお願いをしました。巡り合えた素晴らしい教師の方々のおかげで、短期大学まで進学することができました。

やはり、根底にある赤ちゃんのときの早期療育のおかげだと私は信じています。もちろん母乳育児がスタートです。
現在26歳になる娘は近所の花屋さんで週2回働いています。まだまだ将来のための自立訓練が必要ですが、少しずつ家族で解決していこうと思っています。

最近本人は、iPhoneでいろいろと楽しんでいます。進化する機械を使いこなしている姿を頼もしく思います。
ところで第2子も第3子もしっかりと母乳をやりました。第2子は、米国で産みましたので、飛行機に乗れる生後3ヵ月の時に帰国し平田先生にマッサージを受けました。第3子は要領よく育てました。

今懸念していることは、核家族化が進んで、若いお母さんが子育ての不安を表に出すことが出来る場が少ないことです。ネット上でつなっがていても子どもは体をぶつけあって交流するしあうことが必要です。地域の子育てサークルに積極的に参加できる世の中になるといいなぁと思っています。


母乳育児は最初の1年間が大事です。母乳育児の会に参加することができなくても、家のそばで育児をサポートしてくれる場があるべきと思います。障害がある子も健康な子も共に育つ場をつくれることを願っています。



(M・Mさん)

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